「はんのうリトルプレス」発行にあたって

学而図書が新たに手がける「はんのうリトルプレス」は、埼玉県の飯能市を中心として活躍する作家・アーティスト・市民の作品を積極的に発表していくための小さな出版物のシリーズです。

地域に根ざした実践を、軽やかに発信する「リトルプレス」

飯能市にある私設図書館「本の森はんのうブックセンター」では、地域に根ざして活動する多くの作家・アーティストの作品を展示、販売しています。先日、こちらのブックセンターさんから、飯能を中心として活躍する方たちの本を手軽に出版できないだろうか、というご相談をいただいたのが、ことの発端でした。

最初は、本として形にするとなると、予算が、販売数が……と、うんうん唸りながらお話ししていたのですが、あれこれ検討しているうちに、ふと思い至りました。 そういえば、最近の世の中では、「ZINE」のような、色とりどりの個人誌が数多く発行されています。学而図書のご近所でも、石堂書店さん三輪舎さんによって開かれている本屋・生活綴方さんが、こうした出版物をたくさん扱っておられるのです。そして、私はどこか手作業の温かみが感じられる小さな本を手に取っては「いいなあ」と思いながら眺めてきたのでした。

一般流通に乗せる商業出版では、作家・出版双方の負担が大きくなりすぎて、なかなか(特に、学而図書のような零細出版では)思い切った決断ができません。しかし、個人誌のようなつくり方にすれば、この学而図書でも、新しいメディアづくりのお手伝いができるかもしれない……。 そんなところから出発した企画が、「はんのうリトルプレス」です。

最初の作品は、絵本「つきのおもち」です

その第一段は、飯能在住のアーティスト・たにむらあさみさんの絵本『つきのおもち』に決まりました。 学而図書では、初めて手がける「絵本」となります。いま、海外のペーパーバックの絵本をモデルに、多くの方に手にとっていだけるよう、作者のたにむらさん、本の森はんのうブックセンターの金井さんとご相談しながら、心をこめてつくっている最中です。

リトルプレスの性格上、作品は一般の流通には乗せず、本の森はんのうブックセンターと、著者のたにむらさんによる直接販売で行われます。ご興味をお持ちいただけたら、ぜひ作品紹介ページをご覧ください。 企画者であるブックセンターの金井さんによれば、これからもどしどし本を出していきたいとのことです。学而図書の刊行物に、新しい仲間が増えました。

笠原 正大

笠原 正大

学而図書 代表

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